〈宇宙の約束〉より 2



 雫の音




雫の音を眠り、

私は逆数をかぞえて

生き返る

先ほどと同じ部屋で

屋根裏の狭さ一杯に

私の影が伸びる

廊下も少し伸びているだろう

人類が直立歩行する

その廊下から、階段を降りて

鏡の中に落ちる

私は素数をかぞえて

時空を跳ぶ

赤ん坊みたいに

ほら、枯れ葉が舞い落ちてきた

さきほどの夢の樹から

(詩集『宇宙の約束』より)





        雫(しずく)、跳(と)ぶ